アメリカ・キリスト教をどのように理解するのか、興味深いポイントはいくつもあります。
2.移住時代から異なる、北と南。建国以前から長きにわたった奴隷制、そして黒人蔑視。白人至上主義。
5.政教分離であるにもかかわらず、積極的に政治に関与するキリスト教。
さて、黒人奴隷問題ですが、そもそもイギリスが植民地をアメリカに求めた時点から、自分たち自身(狭いヨーロッパに住んでいた人々による移住社会)があの広大な大地でなんらかの農作業をする気はなかったのかもしれません。この出発点からして、アメリカの社会構造は歪んでいました。もっとも、アメリカのクリスチャンが皆、そのような偏見に染まっていたというのではありません。人格的に高潔な方々は日本の比ではなかったでしょう。
私のテキストでは頁数から考えて扱いきれませんでした。森本あんり氏(国際基督教大学)はアメリカ・キリスト教研究の第一人者ですので、関心がありましたら、お読みになると良いと思います。特に、『反知性主義――アメリカが生んだ「熱病の正体」』(新潮選書)は、教会史的書き方ではありませんが、アメリカという摩訶不思議な国を理解する上では、鋭い視点から描かれています。